新世界

この梅雨は数日をおいて線状降水帯は現れるという雰囲気で、エルニーニョは終息したはずなのに異常というべき事態が重ねて到来する。平均気温の上昇がもたらした激甚化は、我々の正常性バイアスがそれをあえて看過しようとしても、実際に現れているということだろう。平年値は時間を追って押し上げられ、生じた被害の累積によって我々は外れてきた軌道との距離を認識することになる。

明日、20年ぶりに新紙幣への切り替えが行われるというニュースをみる。正直言って、紙幣の切り替えが行われるということ自体、最近知ったので、それが今週からということに戸惑っていて、少なくとも個人的な認識において貨幣の置かれた位置や重要性は以前とだいぶ異なっていることに気づく。こうした認識の変化は、集合的意識内での貨幣の信用創造の効果そのものにも、だいぶ変質をもたらしているのではないだろうか。だがしかし、それを知るには、何が貨幣を貨幣たらしめているのかということに結論を持つ必要がある。

Advanced

GoogleのGemini 1.5 Proと一連のサービスが使えるトライアルが2ヶ月無料だというので、とりあえずこのキャンペーンに申し込んでみたというのは既報の通り。LLMのモデルは、それぞれにだいぶ個性があって、Googleの場合は適切なプロンプトにはだいぶ熱心に答えてくれる感じがある。Contextの大きさはデフォルトで100万トークンくらいあるらしいけれど、それを試すほどの使い方はちょっと想像できない。

この日、日本各地で大雨。梅雨前線の動きは大陸にも大きくかかり、普段は雨量の少なさそうな北京あたりに向けても北上している感じがあって広範囲に影響を与えていそう。

街の上で

『アンメット』による杉咲花の評価急上昇と同時に、若葉竜也熱の到来というのがあって、なんとなく『街の上で』を観る。今さらながら、なぜ「街の上」なのかといえば「舞台の上」をそこに現出せしめようという意図なのだということに、姪に恋をした警察官のくだりで思い至る。この警官のセリフはほぼ同じ内容が劇中に2度あるのだけれど、それを受け取るものの文脈によって反応が全く異なるというのは、つまり舞台の上で繰り返し演じられる演劇と観客の関係を示しているのであろう。前回、この映画を観たときに、そう読み取ったのかは忘れてしまったけれど。

GoogleのAdvancedプログラムに2ヶ月のトライアルがあるというので、これに入ってGemini 1.5 Proを使ってみる。我々が検索を行うとき、カップラーメン1杯を作る電力が消費されるという話があったけれど、LLMというのはそれを大きく上回る浪費であるという気がしなくもない。

静かなるドン

Netflixで『静かなるドン』を観る。同名のコミックが原作であるということは知っているのだけれど、守備範囲からは大きく外れているので、こういう話だということも知らなかったのである。何しろ暴力団の名称が新鮮組だから、コメディではあるのだけれど、ヤクザ社会を題材にしているなりの古風な生臭さはあって、当世の組織暴力というのともちょっと違う昭和な感じ。60分の尺だけれど脚本のバランスはよく、伊藤健太郎も楽しそうに演じている。

もしトラ

この日、党大会前に早められたアメリカ大統領選の候補者による討論会は、山籠りしてこれに備えたというバイデンが全く精彩を欠いて自滅し、薄々皆がわかっていた通り、主に加齢がもたらしたさまざまな能力の低下を露呈して、不安だけを高めて終わる。本人ですら、かつてのようにディベートを行うことができなくなったと述べたそうである。おいおい。

もしかしたら、スケジュールの前倒しはこれあるを見越してであり、すぐさま民主党の修正能力の発現があると期待したいのだが、どうなのか。このままであれば、座してトランプ再選という、世界はその瀬戸際にある。マジですか。

ごきげんよう

『虎に翼』は再登場した梅子が家族の相剋の果て、家を出ることを宣言する回。演じる平岩紙の高らかな「ごきげんよう」は、これも朝ドラらしからぬ展開で痛快。前作『ブギウギ』の役柄で菊地凛子が出演したりして、いろいろ楽しい。

この日、翌日にかけて九州から四国あたりでは線状降水帯が発生する予報が出され、緊迫した雰囲気となる。最近では、もう何度目かの集中的な降水で、慣れが生む感覚からすると警戒心は下がる方向にあり、一方で実際の危険は累積雨量から高まるというのが防災の難しいところであるには違いない。ところで、古代地球においては2万年、雨が降り続けた時期があったそうである。

キャンペーン

どういうタイミングか知らないけれど、Kindleのキャンペーンが始まって、例によってハヤカワもお得な感じになっている本が多いので、ついぽちぽちとやって、読みたいと思っていた本を瞬く間に3冊ほど買い求める。ちょうどこの日、Steamでユーザーが「積みゲー」としてるゲームは3兆円分という記事を読んだのだが、もちろん積読はその上をいっているに違いないのである。