昭和日記

青空文庫で『古川ロッパ昭和日記』を読んでいる。みっしりと書き込まれた日々の記録が、少しずつ変調して戦争に向かっていく。大きな流れのようなものが背後に立ち上がっていく様子が興味深い。稗史やオーラルヒストリーを好む所以だが、日々の細部の積み重ねがそれを生じているわけで、人生に一度きりの仕事だと思えば一層、感慨深い。

パーセント

『舟を編む』と同じNHKドラマの枠で、新たに伊藤万理華主演のドラマが始まったので、これは観なければなるまいと思っている。障害者を主人公にしたドラマを制作する主人公というメタ構造の話だけれど、これもまた、アップデートされるべきマインドセットをきちんと批判した脚本で悪くない。大阪府を逢阪府とする類の改変は何のためにやっているのだという気がしなくもないのだが。

イコライザー THE FINAL

『イコライザー THE FINAL』を観る。今回はいつもに比べてだいぶ画面が暗い印象で、イタリアを舞台としているのも趣向が異なるようだと思っていたけれど、監督は変わらずアントワーン=フークワで、話の筋も実に『イコライザー』らしい。THE FINALといいながら、この調子でさらに続いても不思議はない感じ。もちろん、お約束を楽しむ類のジャンル映画であるからには、これが正解であるには違いないし、意外に楽しめたのである。

この日、太陽フレアが連続して発生した影響でロンドンなどの低緯度地域でも、さまざまにオーロラが観測される。地磁気嵐による影響は限定的ではあろうけれど、神秘的であってもどこかしら不穏な感じもするのである。

虎に翼

今週の『虎に翼』はいよいよ寅子が高等試験を突破する運びとなったのだけれど、その過程では国、社会、家庭のあらゆる柵が友の志を砕いていく。その溜めから、初の女性弁護士となった自身の祝賀会の雛壇で、怒っていることを語る主人公、それを聞いてなお黙殺しようとする新聞という展開で、またしてもよく出来た脚本と構成なので感心する。

iPad Pro

そういえばApple SiliconがもうM4となり、これを搭載したiPad Proが発表されたけれど、このところタブレットは完全にサブ機となっていることもあって、あまり関心が払えていない。iPod nanoより薄いという表現は今やイメージできる人の方が少ないだろうというものだが、そもそも処理速度と驚愕の薄さにどこまで価値を認めるべきかは悩むところ。それに円安による価格レンジのシフトが重なって、日本での売上はかなり苦戦するのではなかろうか。

RoOT

『RoOT』を観る。このドラマも第6話まで来ていて、別地点から始まったストーリーは、『オッドタクシー』と同化して今や忠実な実写版といった感じ。単独でも楽しめる雰囲気はあるけれど、オリジナルを観ていないとよくわからないという話になりかねない印象ではあって、先に積読だった分を片付けたのは正解だったといえる。主人公の探偵二人は変わらずいい。

このところ、咽頭炎と熱、鼻水といった症状の病を身の回りでよく聞くのだが、風邪というより、どうやらRSウィルス感染症の流行なのではないかと思っている。コロナからこっち、人類集団の免疫システムには甚大な問題が起きている気がしてならない。そして、この日の人口動態のニュースは、昨年からのコロナ死者は国内で16,000人を越えているという話を伝える。見て見ぬふりをしているうち忘れていたのだけれど、やはり、病がなくなったわけではないのだ。

新演出

『虎に翼』は引き続き、気合の入った脚本で物語を紡いでいる。ハ=ヨンスが演じる香淑が特高に目をつけられた経緯が明かされるのだが、朝鮮の人たちが同胞と語らう場面が朝鮮語の会話が字幕入りで描かれていて、その演出にはあえてこの場面を組み込もうという意図がみえて、ちょっと感動する。リアリティというよりは、定型と違う世界を構築しようという意思の表れだと思うのである。