2日目

能登半島での大地震の翌日、18時頃に入ってきたのは羽田空港での旅客機事故のニュースである。着陸時に海上保安庁の機体と接触して日航機が炎上する。画面の中にジャンボが炎上する映像が流れ、徐々に明らかとなった状況が伝えられる。今年が始まって48時間以内に、想定していなかったようなアクシデントが次々という感じで起きている。能登半島の地震も大きな被害が明らかになっていくなかで、海上保安庁の航空機も地震の支援に出動していたという痛ましい話だから、万事はつながっているともいえるのだが。

かつてはこのような時にはTwitterが機能したものだが、ペケッターなった現在、タイムラインは有象無象の湧き出すシロモノとなって、まず見れたものじゃないという感じ。イーロン=マスクはこのSNSを使い物とならなくする目的において、正しくインセンティブを設計したようである。

謹賀新年

朝は穏やかな天気で、帰省した実家の窓から初日の出を拝む。渡世の事情があるので、昼に出発して長野に戻ったのだが、夕刻に能登半島での大地震が起きる。久しぶりに緊急地震速報の発出を聞き、日本海側には大津波警報も出る。5月に奥能登で起きた地震は記憶に新しいが、今回は震度7を記録してそれを上回る。輪島港では1メートル以上の津波。地震が来てもいいタイミングがあるわけではないが、よりによって元旦の夜とは。

このところ『おとなり銀河』のドラマをコツコツと観ている。NHKの夜の時間帯のドラマというのは、概ね平和な感じなのでいろいろとちょうどいいのである。

大晦日

2023年の大晦日。あらゆるタスクは先送りして、年越し蕎麦も食べてあとはのんびりごろごろしようという構えだけれど、NHKプラスは紅白のアクセス過多で繋がりにくくなっているみたいなので、コンテンツはYouTubeのライブ配信一択の流れ。結局のところ、今年も読書をしつつ、眠くなったところで一年が終わる。良いお年を。

2023年に観た映画のこと

今年はあまり映画を観ていなかったような気がするのだけれど、振り返ってみるとそれなりの収穫はあって、『ヘルドックス』は終始、興奮してそのかっこよさを讃え、見逃していた原田眞人監督の映画作品を追いかけたものである。ただし、同じ岡田准一主演の『最後まで行く』をまだ観ていないツメの甘さには2023年という年を象徴するようなところがある。

韓国ドラマでは『生まれ変わってもよろしく』が筆頭で、『梨泰院クラス』で徹底的に悪役だったアン=ボヒョンのイメージを塗り変えたし、何よりシン=ヘソンの演技プランの奥行きに感心してすっかりファンになったものである。いかにもWebマンガが原作という雰囲気の話ではあるけれど、ストーリーそのものも結構、面白かったのである。

台湾の映画も幾つか観て、特に『1秒先の彼女』は非常に楽しんだ。宮藤官九郎の脚本で男女を入れ替えたリメイクの『1秒先の彼』も観たけれど、これはオリジナルのバイタリティの方が合っていたような気がする。

邦画では『水は海に向かって流れる』が印象に残った。原作の漫画とはエンディングの処理が大きく異なり、広瀬すずの存在感をうまく引き出した映画らしい演出になっていた。その後の行方が気になる向きは原作を確認せざるを得ないという趣向だが、これは原作も面白いので是非、読むべきだと思う。

そして『ゴジラ -1.0』も予想以上によく出来ていて、モノクロバージョンの『ゴジラ -1.0/C』もどこかで観てみたいと思っている。そもそも「マイナスワン」というのがよくわからないと思っていたのだけれど、「マイナスワン、マイナスカラー」というところまで来れば、そういうものかという気にもなってくる。

ゴジラの世界展開は続いており、モンスターユニバースでは『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』の最新話を毎週、楽しみにしていて、こちらは年を跨いで、おそらくはあと2話程度でシーズン1完結となる。例の地下世界が顔を覗かせてきているので、世界観の奥行きをキープできるかが今後の面白さを左右することになるであろう。

『窓際のスパイ』は第3シーズンにかけて尻上がりに面白くなってきている感じで、原作もいまだに最新作が最高傑作と言われているようだから、なかなか幸せな作品なのである。ドラマのほうも今期が一番の出来とみえ、今から第4シーズンが楽しみ。

日本のドラマでは上田誠の『時をかけるな、恋人たち』とバカリズムの『ブラッシュアップライフ』を挙げておく。とはいえ、脚本の妙だけでなく、いずれも役者の仕事のレベルは高く、特に安藤サクラのナレーションには中毒性すらあると思ったものである。

というわけで、今年もあと1日。あまりにドタバタしているので、振り返り企画もどうしようかと思ったのだけれど、継続は力なり。そして来年も多くの作品に感心することになると思う。

年の瀬

十数年ぶりに仕事納めまで働いて、渡世のあれこれで仕事みたいな仕事をこなし、何だかすごく忙しいので、気がつくと年賀状を作っていなかったりする。いや、まいったね。仕方がないので来たものに返事を出す方針として、しかし今後は郵便はがきの値段も大幅に上がるらしいから、足もとから一斉に流量が減るのではないかと期待している。そんなドタバタとした年の暮れ。

放たれた虎

『窓際のスパイ』第3シーズンの最終話を観る。年末近くになると始まって、長居するわけでもなくきっちりと濃密な物語を編み、年を跨ぐことなく次シーズンの予告とともに去るというスタイルがもう3年も続いているわけである。本格的なトレイラーがあるということは、プロダクションはだいぶ進んでいるということだろうけど、1年後を待てということであろう。待ち遠しい。

いつもより火薬の量が多い気がする今シーズンの山場、命の遣り取りはどこか泥臭さがあって、しかしそれがいい。スラウハウスの面々が言葉通りの悪戦苦闘の果て、それぞれの結末に向かうフォーマットは完成度高く作り込まれている。

3作目までというのが現時点でのSlough House シリーズの翻訳の状況だけれど、早川書房には頑張ってもらわないと、第4作は映像作品を先に観るということになる。

京城クリーチャー

Netflixで配信の始まった『京城クリーチャー』を観る。ハン=ソヒが安重根の写真をInstagramに投稿して、何だか騒ぎになっているということだけれど、日本の占領統治下の朝鮮半島の状況を扱うのであれば、もちろん日本軍の圧政とその残虐性が描かれないわけはないのである。素材と時代設定はそれなりによく考えられたもので、この暗い雰囲気は悪くない。そしてネトウヨは当然、彙集してくるであろう。企画段階で分かっていた話だ。

自民党の政治資金問題で議員の事務所にも家宅捜索が入る。この展開は久しくなかったもので、もちろんこの国の正常化に向けては必ず通らなければならない道であろう。