『忌怪島』を観る。『リング』の清水崇監督が新時代の貞子を誕生させようという映画といえば、だいたいそんな感じではなかろうか。奄美・沖縄の島嶼群のひとつらしき島を舞台として、何をやっているのかよくわからないITの開発会社とそこに勤めることとなった若き脳科学者というような設定で話はすすむのだけれど、懸念される通り食い合わせがいいという感じではないし、まぁ、だいたいVR世界のあれこれや怪異も雰囲気が先行するばかりで訳がわからない。登場人物の数もそれなりだけれど、奥行きがある感じではない。演技がついている様子も半々といったところか。残念ながら、観るべきところはあまりなかったようである。
Tokyo Calling
新しい学校のリーダーズの『Tokyo Calling』のMVに観入ってしまう。これまでにない曲調はともかく、ウルトラセブンの雰囲気とサビのダンスには引力がある。このセンスは好き。何より、この得体の知れなさが最大の魅力ということであろう。人外を感じさせるダンスに磨きがかかっている。
軽石
鳥島付近の海域で80Kmにわたり軽石と見られるものが漂流しているという海上保安庁の巡視結果が報じられる。今月9日、原因不明の津波があったのは、この付近の海底でのカルデラ噴火が理由なのではないかという説があるが、それと付合する発見である。結局のところ自然の変動に対する観察の感度というのはこのくらいのもので、我々は事態に飲み込まれることでしか、そのインパクトの大きさを理解できないだろうという昏い予感がある。
この日、国会では首相の所信表明演説が行われる。前日に行われた補選では2議席のうち1議席を失い、趨勢として年内の解散総選挙はなくなったと考えられる時間帯にあるが、経済を強調したメッセージに対して現実の厳しさはいや増し、支持率そのものはさらに低下していくことになるだろう。対抗軸が今よりマシなものになるかはわからない。
1秒先の彼
『1秒先の彼』を観る。2020年の台湾映画『1秒先の彼女』の本邦リメイク。岡田将生がシャオチー、清原果耶がグアタイの役回り。舞台を京都に移し、主人公の男女を入れ替えて、宮藤官九郎が脚本を書いている。とはいえ、ストーリーやアイディアは、かなり忠実にオリジナルをなぞっている感じ。苗字の画数が、わかりやすく状況を説明するあたりはさすがの印象はある。主題歌は幾田りら。
キャスティングそのものは悪くないとして、どうして男女の設定の入れ替えが必要だったのかと考えれば、俳優の個性を踏まえた結果だと見えなくもなく、結果としてもとの映画にあったキャラクターのエキセントリックな部分はやや薄まっている様子。そう考えると、何故リメイクが必要なのかという気がしなくもない。
イ・ドゥナ!
Netflixで配信の始まった『イ・ドゥナ!』を観る。しばらくして出演しているのがペ=スジであるということに気づく迂闊さなのだが、シェアハウスで同居することになったのが元アイドル、という厨二設定にしてはやや真面目なロマンスに振られたストーリー展開で、しかしセンスの良い演出とひたすらフォトジェニックなペ=スジの存在によって破綻のない話になっている。Netflixオリジナルらしい質のよいドラマで、韓ドラのロマンスに求める全てがここにあるという感じ。大したものである。
この日、ガザに支援物資を載せたトラック20台が入る。200万人以上が追い立てられて漂流し完全封鎖が続く状態には、もちろん気休めのような物量である。都市封鎖によって作り出された飢餓や生活状態の異常な悪化という凄惨な事態はなお進行している。
送別会
送別会でもあり歓迎会でもある飲み会。コロナ禍が終わったという立場にはない者ではあるけれど、あれこれが回帰しているという事実は認めるにやぶさかではない。久しぶりに紹興酒を大量に飲み、中国に赴任の経験のある人たちからは理解できないという反応を得る。紹興酒の味はともかく、後に残りにくいという一点で、いい酒だと思うのである。
情報
ガザの病院がミサイルで攻撃され500人以上が死傷したという事件は、イスラエルとハマスの双方が相手の仕業だと表明し、アメリカはハマス以外の武装勢力による誤爆という情報を広めて状況のコントロールを試みる。一件落着ということになったとして、それはガザ侵攻を後押しするだけだと考えれば、この手の真相には邪悪な思惑が骨絡みとなって、市民はただ割を喰う。
バイデンはイスラエルを訪問して、今が戦時であることを宣言する。その免責の物言い自体、気に入らないもので反発はますます高まっていくだろう。